それでも、愛していいですか。
「ほんと?ありがとう。嬉しいな」
奈緒のそんな思いをよそに、孝太郎は満面の笑みで素直に喜んでいる。
かと思えば、
「でもね、俺、別れたばっかなんだ」
と、さらりと重大なことをカミングアウトした。
「えっ!?孝太郎、彼女いたんだ!」
「幼なじみなのに、知らなかったの?」
「知らないよ。会うのだって久しぶりだし、今までもそういう話、あんまりしなかったし。え?なんで別れちゃったの?」
「お前、昔っからいきなりど真ん中を聞くよな」
と苦笑しながらも、「多分、俺じゃつまらなかったんじゃない?相手、年上だったし」と答えた。
「年上だったんだぁ」
意外だった。
彼女はいてもおかしくないとは思っていたが。
なんだか孝太郎が大人になってしまったような気がして、ますます遠くに感じてしまった。
「だから、俺のこと、かわいがってね」
「かわいがってねって、ペットじゃあるまいし」
すると孝太郎は口を大きく開けて笑った。