それでも、愛していいですか。
「シュン。おいしいお酒作ってあげてよ。今日、彼女、飲みたい気分だから」
君島は腰かけながら勝手にオーダーを通していた。
「え?ちょっと……」
「気分、撃沈してるんでしょ?そういう時は、飲んじゃいなよ」
あまりに図星だったので、笑うしかなかった。
「先生、超能力持ってるんですか?」
「多少ね」
そう言って、君島は口を開けて笑った。
「そっか。リンちゃんは先生だったんだね。忘れてた」
シュンは笑いながら、チョコレートの入った小皿をカウンターに置いた。
「そうだよ。僕はこれでも一応先生なんです。学生が困ってたら助けてあげるんです」
「こんな時間にこんな店に連れてくる先生がどこにいるんだよ。ねぇ」
シュンは奈緒に笑顔を向けながら、手際よくカクテルを作り。
「はい、どうぞ」
シュンはオレンジジュースのようなカクテルをコースターの上にのせた。
「ファジーネーブルね。オレンジジュースみたいだから飲みやすいよ」
「ありがとう」