それでも、愛していいですか。


三人は会計を済ませて、店の外へ出た。

春先の夜風はまだ少し冷たい。

「孝太郎、加菜を送ってあげてよ。歩いてだとちょっと距離あるから」

「ああ、オッケー。って、お前は大丈夫か?」

「私の家は、すぐそこじゃない」

「……いいの?」

加菜は孝太郎ではなく、奈緒を見ていた。

その「いいの?」が「好きになってもいいの?」だということはすぐにわかった。

軽くうなずくと、加菜は少しはにかんだ。

かわいい表情するなぁ。

男子はやっぱりこういう子がいいんだろうな。

奈緒はジャケットのポケットに手を突っ込んだ。

「じゃ、加菜をよろしくね」

「お前も近いとはいえ、気をつけて帰れよ」

「はいはい、大丈夫大丈夫。じゃね」

バイバイ、と手を振り、二人に背を向け帰路に着いた。





< 14 / 303 >

この作品をシェア

pagetop