それでも、愛していいですか。
三人は会計を済ませて、店の外へ出た。
春先の夜風はまだ少し冷たい。
「孝太郎、加菜を送ってあげてよ。歩いてだとちょっと距離あるから」
「ああ、オッケー。って、お前は大丈夫か?」
「私の家は、すぐそこじゃない」
「……いいの?」
加菜は孝太郎ではなく、奈緒を見ていた。
その「いいの?」が「好きになってもいいの?」だということはすぐにわかった。
軽くうなずくと、加菜は少しはにかんだ。
かわいい表情するなぁ。
男子はやっぱりこういう子がいいんだろうな。
奈緒はジャケットのポケットに手を突っ込んだ。
「じゃ、加菜をよろしくね」
「お前も近いとはいえ、気をつけて帰れよ」
「はいはい、大丈夫大丈夫。じゃね」
バイバイ、と手を振り、二人に背を向け帰路に着いた。