それでも、愛していいですか。
「……一人になるのが、怖いんだ」
強く抱きしめたまま、声を震わせた。
奈緒は腕の中で静かにうなずいた。
すると、阿久津は奈緒の顔を両手で優しく包み、憂いのある目で切なく見つめた。
ドクン、ドクン――
そんな切ない顔しないで。
私の胸が耐えられない。
張り裂けそう……。
阿久津は少し顔を傾けて、奈緒の唇に優しくそっと口づけた。
ふんわりとした優しいキス。
お酒とホットミルクの香りがする、大人と子供が入り混じった味。
先生の呼吸が伝わってくる。
先生の体温が伝わってくる。
先生の哀しみが伝わってくる。
私は、どうしてこんなに苦しいの……?
気がつくと、感情が溢れ出すように涙がほろりとこぼれ落ちた。