それでも、愛していいですか。
その後の小論文の試験も面接も、なんとかこなし、奈緒は実家に戻った。
とりあえずの大仕事を終え、少しほっとした。
「どうだった?」
帰るや否や、母はエプロンで手を拭きながら玄関まで出てきて尋ねてきた。
「まあまあ、かな」
奈緒がそう答えると、
「そう」
とだけ言って、台所へ戻っていった。
奈緒が深呼吸しながらダイニングの椅子に腰掛けると、母は、
「あとは結果を待つのみね」
と言って、すっと番茶を差し出した。
「そうだね」
奈緒は、番茶をごくりと飲み込むと、ふぅと大きく息を吐いた。