それでも、愛していいですか。
父との確執
奈緒が哀しみに暮れている頃、阿久津もまた苦悩していた。
俺が自分の気持ちに中途半端に素直になったせいで、よけいに彼女を苦しめてしまった。
なんて馬鹿なことをしたのか。
俺の人生に彼女を付き合わせるのは、あまりに重荷なことはわかっていたじゃないか。
それなのに変に期待をさせて、挙句、裏切って。
それならば、俺はずっと死んだままでいればよかったのだ。
彼女には、明るい未来がある。
それを、奪ってはいけない。
……俺に、幻滅すればいい。
こんな最低な男のことなど、忘れてしまえばいい。
阿久津は、美咲の言葉で自分の犯した罪を再認識させられていた。
十字架を背負い続けなければならないのだ。
人を幸せにする資格も、自分が幸せになる資格も、端からないのだ。
……それなのに。