それでも、愛していいですか。
「親父、なんか言ってたか?」
病院の帰りに立ち寄った喫茶店で、圭介はブラックコーヒーを一口飲んだ。
阿久津は、背もたれに体を預け大きく深呼吸をし。
「……自分は、もう長くないって言ってたよ」
ぽつりと言った阿久津の言葉に、圭介は顔を上げた。
「本当にそう言ったのか?」
「ああ」
「……そうか」
圭介はゆっくりとコーヒーを流し込んだ。
「俺たちの嘘に付き合ってくれてるってわけか」
圭介は苦笑して、目を伏せた。
「おまたせしました。ミニいちごパフェでございます」
ウエイトレスが、阿久津の前にかわいらしいパフェを置いた。
「お前の甘党は相変わらずなんだな」
阿久津はにこりともせず、スプーンでクリームをすくう。
圭介はその様子を眺めながら煙草に火をつけ、ふぅと煙を吐き出した。
「なあ、涼介」
「なに?」