それでも、愛していいですか。
その頃。
阿久津は由美と隼人の仏前で静かに目を閉じ、手を合わせていた。
そして、ゆっくりと目を開け、二人の遺影を見つめた。
「由美、隼人」
阿久津は穏やかに語りかけた。
「君たちとの思い出は、俺の宝物だ。決して、忘れたりなんかしないよ」
そう言って二人の遺影を見つめ、阿久津はしばらく黙っていた。
そして。
「ねぇ。俺はもう一度、今を生きていいかな?」
その問いかけに、由美と隼人の遺影は、阿久津にただ笑顔を向けていた。