それでも、愛していいですか。
肩越しの瞳
「かんぱーい!」
最近できたばかりのダイニングバーで、民法ゼミの美穂と藍、そして奈緒は、美穂の高校時代の先輩が連れてきたスーツ姿の男性陣と向かい合って座っていた。
慣れない雰囲気に身体が硬くなる。
せめて加菜がいてくれたら、なんてことを思ってもそれは叶わぬ願いで。
彼氏がいる加菜は、メンバーからさっさと除外されていたのだ。
「じゃ、まずは自己紹介ね」
どうも馴染めないとガチガチになっている奈緒をよそに、前に座っている男性が明るく取り仕切っている。
「僕は、渡辺高広です。年は24で。えっと、高校時代は吹奏楽やってて、OBとしていろいろ手伝ってたから、美穂とも知り合いになりました。僕らは同じ会社の同期でよく三人でつるんでます。よろしく!じゃあ、次は君」
高広は奈緒を見て、にっこり笑った。
……ああ。こういうのが苦手なんだよぉ。