それでも、愛していいですか。

「う、うん」

奈緒がそう言うと、雅哉はにっこり微笑んだ。

「本当は、こういうの苦手でしょ?」

図星だった奈緒はふと顔を上げた。

「僕もね。飲み会は別に嫌いじゃないんだけど、テンションが高いのはちょっとついていけないんだよ」

雅哉はちらりと高広を見て笑った。

奈緒は、同じような人がいてくれたことが嬉しくて、つい、

「あ、私も」

と思わず同調してしまった。

長身で整ったルックスの雅哉は、スーツもばっちり着こなし、文句なしに格好良かった。

これだけ格好良くて、穏やかな雰囲気で。

しかも私と4つしか違わないなんて。

大人だなぁ。

もてるんだろうなぁ。

「奈緒ちゃんは休みの日、なにしてるの?」

にっこり微笑み、奈緒の目を見つめる。

「えっと、私は……」

最近、私、なにしてるんだっけ?

阿久津先生に約束をすっぽかされてから、悶々としていてなにをしていても集中できない……。

ただ、日だけが過ぎていくだけで……。

奈緒がグラスを持ったままうつむいていると。

< 248 / 303 >

この作品をシェア

pagetop