それでも、愛していいですか。
ワンピース
ある日曜の午後。
奈緒が身支度を済ませて、アパートの外階段を降りていくと、孝太郎がサンダル姿で歩いているのが見えた。
「孝太郎」
「おう。ん?お出かけ?」
「買い物に行くんだ~。デパート巡り」
「デート?」
「残念ながら、一人です」
「じゃあ、俺も行く」
「はい?」
「ちょっとだけ待ってて」
孝太郎はそう言い残し、自分の部屋に戻っていった。
「ちょ、ちょっと!」
なんでそうなるんだ、と戸惑っている間に、あっという間に着替えた孝太郎が現れた。
サンダルもスニーカーに変わっている。
「あんた、どっかに行くところだったんじゃないの?」
「ああ、別に。ふらふらコンビニでも行こうかなって思ってただけだから」
孝太郎は、地下鉄の駅の方に向かって歩き出す。
「ちょっとぉ!」
「一緒だと、困る?」
「別に、困りはしないけど……」
「じゃ、行こう」
なんだか腑に落ちないまま、奈緒は孝太郎を早足で追いかけた。