それでも、愛していいですか。
「俺は、先生失格ですね」
「え?」
「自分の学生を、愛してしまうなんて」
その言葉に、奈緒は思わず阿久津を見上げた。
阿久津は、照れくさそうにぎこちなく笑うと、奈緒をぎゅっと抱きしめた。
伝わる阿久津先生の体温。
鼓動。
吐息。
なにもかもが愛おしい。
先生。
私は、先生のすべてが、好き。
奈緒は阿久津の目を見つめた。
「先生」
「なんですか?」
阿久津は穏やかなまなざしで奈緒を見つめる。
奈緒はその瞳を見つめ、
「好きです」
と言うと、阿久津は、
「俺もです」
と、静かに微笑んだ。