それでも、愛していいですか。
阿久津准教授の過去
しばらく余韻に浸った後、阿久津は体を起こし、床に散らばっている奈緒の服を拾い上げた。
「風邪をひいてはいけませんから」
奈緒は、服を受け取りながら、ふわふわとした感覚から急に現実に戻ったような感じがして、途端に照れくさくなった。
阿久津はすばやく服を着て、少し乱れた髪をかき上げる。
「なにか、温かいものでも入れましょう」
そう言うと、奈緒を寝室に残したままリビングへ行ってしまった。
奈緒は寝室の扉をぼんやり見つめた後、手渡された服を身に着けた。
ダブルベッドから降りた時、乱れた布団が妙に淫らに思えて、慌てて布団を直した。
リビングへ行くと、いつかの夜のように、阿久津はマグカップにホットミルクを入れてくれていて。
「どうぞ」
阿久津は奈緒にマグカップを手渡し、ソファに座るよう促した。