それでも、愛していいですか。
訃報
明後日は、阿久津准教授の歓迎会だった。
短大近くのカフェで、午後のお茶とデザートを楽しむことになっている。
奈緒は、阿久津とデザートがどうしても結びつかなかった。
女子学生と一緒にデザートというより、一人で静かにブラック、という感じだ。
……そういえば。
あの時、先生もケーキを食べたのだろうか。
あのきれいな女性と。
奈緒の部屋には孝太郎と一緒に選んだパステルブルーのワンピースが掛けてある。
それを見るたび、ついため息が漏れる。
仲良くなれたらいいな、と淡い期待を抱いていたが、あれはおそらく奥さんだろう。
自分など入り込む余地はないのだと、思い知らされた。
奈緒はもう一度大きなため息をつくと、自分の頬をパンパンと叩き机に向かった。