それでも、愛していいですか。
高校を卒業するまで、祖母とは同居していた。
奈緒の母は長男の嫁なので、嫁の苦労をいろいろ見てきたし、母がこぼす愚痴をよく聞かされた。
祖母の死は、すんなり受け入れられた。
訃報を聞いても、すぐに涙は出なかった。
祖母はガンを患って入院していて、先が長くないことをみんながわかっていたからだ。
……歓迎会どころではなくなってしまった。
翌朝、奈緒は身支度を済ませ、地下鉄の駅を目指して歩き始めた。
駅に着くと、ちょうど出勤ラッシュでスーツを来たサラリーマンやOLでひしめき合っていた。
電車の中はさらに悲惨で、身動きができない。
息が詰まりそうだった。
地下鉄を降りると、奈緒はI市行きの電車に乗り換えた。
電車に揺られI市に着くと、そこからさらにバスにも揺られ、実家に着いたのは昼だった。
実家にはたくさんの人が尋ねて来ていて、親戚のおじさん、おばさん、近所に人たち、久しぶりに見る顔がたくさんあった。