それでも、愛していいですか。

初めてこの店で君島と会った時、モデル並みのルックスのこの先生に、心を奪われそうになった。

しかし、君島と会話をすればするほど、君島准教授という人がわからなくなった。

好きなことを言っているように見えるのだが、彼の本心がいまいちつかめないのだ。

到底自分の手に負える人ではないと、次第に思うようになった。

「奈緒ちゃんも気をつけな。世の中にはひどいのがいっぱいいるから」

そう言うと君島は、はあぁと大きなため息をついた。

そこへマスターが、君島がいつも注文するカフェオレ(砂糖たっぷり)を、すっと彼の前に差し出した。

「ね、わかる?奈緒ちゃん。僕はこのタイミングがたまらないんだよ。マスターはいつも絶妙なタイミングで静かにカフェオレをすっと差し出してくれるんだ。僕はマスターが大好きだから、ついついここに来ちゃうんだよね」

君島はそう言うと、

「あ、大好きって、ラブじゃないよ。あえて言うなら、人としてのラブ&リスペクト」

と、のべつまくなしに語り、にたりと笑った。

かと思えば、今度は少し身を乗り出し。

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