それでも、愛していいですか。
「……ね、聞いてる?」
加菜は奈緒の顔をのぞき込んだ。
「あ、ご、ごめん。なんだっけ?」
「だから、再来週の花火大会。行くでしょ」
「あ、うん。行く行く」
そう言って奈緒は無理して笑顔を作った。
「ねぇ、奈緒」
「なに?」
「大丈夫?」
「う、うん。大丈夫大丈夫」
加菜は心配そうに奈緒を見つめる。
自分と阿久津と美咲のことだけならまだ良かったと、加菜を前にして思った。
「そお?あんまりため込んじゃ駄目だよ。辛いこととかあるんだったら、話、聞くからね」
そう言って加菜はそれ以上、突っ込んでこなかった。
その優しさが辛かった。
「ね、ね。花火大会、浴衣着て行こうね」
加菜は少し強引に話題を元に戻した。
「うん。そうだね」