それでも、愛していいですか。
花火大会当日。
浴衣を着た奈緒と加菜は、バスに揺られ、花火大会の会場に降り立った。
夕方だというのに陽射しが強く、汗ばんでくる。
川沿いには露店が並んでいて、たくさんの人で賑わっていた。
浴衣を着たカップル、家族連れ、友達同士、みんな笑顔でなにかを話している。
「すごい人だね」
「ほんとだね」
加菜は辺りを見渡していると、突然、
「あ」
ある一点を見つめた。
「どうしたの?」
「あそこ」
加菜が指差した方には、浴衣を着た君島准教授がいた。
「あ。先生だ」
奈緒は君島を確認すると、その隣りにいる彫の深い顔の男性に目が行った。
その男性も浴衣を着ている。
「あの二人、格好いいねぇ」
加菜はうっとりしている。
「ほんとだね。モデルみたい」
ルックスのいい二人は嫌でも目を引いてしまうようで、ちらちらと君島たちを窺いながらひそひそと話す女子たちが何人もいた。