それでも、愛していいですか。
「孝太郎もおかえり」
「今日も学校に行ってたのか?」
「うん。いい加減、ちゃんと勉強しないとね」
「そっか」
「うん」
「がんばれよ」
「うん。ありがとう」
言葉が途切れる。
以前のように会話が続かない。
「じゃあね」
奈緒は逃げるように自分の部屋へ帰った。
玄関の戸を閉めると、戸にもたれかかってため息をついた。
あの日からずっとこんな感じで、会話が不自然になってしまう。
すぐ、逃げてしまう。
うやむやにしている自分がいけないのだと思いつつも、正直、自分でもどうすればいいのかわからない。
孝太郎のことは、好きなのだ。
優しいし、私のことをよくわかってくれている。
孝太郎と一緒にいれば、きっと、私は大切にしてもらえる。
だけど……。