イジワル王子の溺愛



『話があるから今日会えませんか』と


そしたら先生は快くオーケーしてくれて、あたしが誘ったのにこんなフレンチレストランまで予約してくれて


……まるで会うのを楽しみにしてたかのように




「……あの、」


ゴクリとつばを飲み込む


何て言ったらいいんだろ

ってそもそも何を言うためにここに来たんだっけ?


あぁだめだ、頭真っ白…


「椎香ちゃん、どうかした?」


ひらひらとあたしの顔の前で手のひらが動いた


――――ハッ


「あぁ、ごめんなさい。何でもないです」


「そ?気分悪くなったら言ってね?」


「……っ」


優しい瀬山先生にいたたまれなくなって


「えっ、椎香ちゃん!?」


「……ごめんなさい」



気づいたら謝罪の言葉を口にしていた




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