LOVE PRINCESS(林&愛未)
林君のバイト先に着いた私は、はぁはぁと肩で息をして止まった。
昨日と同じ場所に立って、だんだんと冷静なってみると、今度はどんどん落ち着かなくなってしまう。
今までバイト先にまで行ったら迷惑だろうな。そう思ってバイト先になんて来たことがなかったんだもん。
昨日は寅さんが居たし、そこまでは思わなかったけど。
さすがに2日続けて、とか。
喧嘩? 中なのに、とか。
そんな事を考えていると、ドアがゆっくりと開いた。
――ドッキン!
胸が大きく跳ねて。
慌てて見た時計は、林君のバイトの終わる時間をさしていた。
ドキドキと落ち着かない心臓に手を当てながら、見ていたら出てきたのは予想通りの林君で。
だけど見るからに元気がない。
その元気のなさが、私の事で悩んでるからだったら嬉しいな……、なんて不謹慎なことを思っちゃったんだけど。
でもドキドキは、すぐにイライラへと変わってしまった。
林君に続けて出て来たのは、昨日と同じ持田さん。
それを見て、踏み出そうとした足を一瞬躊躇したけどっ。
「はっ、林君っ!」
そう大きな声で名前を呼んだ。
「ま、愛未ちゃん!?」
私の声に勢いよく顔を向けてくれた林君は、驚きと喜びが混ざった笑顔で駆け寄ってきてくれた。
その顔を見ただけで、愛しくて抱きしめたくなっちゃう。
「待っててくれたの?」
「……うん」
喜んだ声を出す林君に、私も少し照れながら答える。