LOVE PRINCESS(林&愛未)
「いやいや、愛未考えてみろよ。
散歩ってことは家の近所だろ?」
「はぁ?」
「途中で兄ちゃんが帰って来たら、どうよ?」
「え?」
「兄ちゃんの大事にしてる寅さんを散歩させる愛未。
喜ぶ兄ちゃん。
兄ちゃんが、もっと愛未を好きになる瞬間だと思わね?」
“もっと”私を好きになる!?
そんな言葉に簡単に踊らされてしまう私は、寅さんの首にハーネスを付けて外に出た。
しかし、チビ林下も生意気になったもんよね。
寅さんと散歩に出ようとした時、私のこと鼻で笑ってたもんね。
わかってるわよ、双子に踊らされてることくらい。
だけど、林君に“もっと”好きになってもらえるとか言われたら……ねぇ。
中学ん時って反抗期だっていうから仕方ないんだろうけどさ。
まぁ、そのてん双子はマシな方よね。
口は上手くなったけど。
チビ林下も昔は可愛かったのになぁ。
脅せばビビって言うこと聞いてたのに。
あぁ……、何か母親の心境だわ。