LOVE PRINCESS(林&愛未)
あっ!
林君の服の袖持ってるよね、あれって。
しかも上目遣いしてない?
あの子、狙ってる。
絶対に林君を狙ってる!
寅さんにクィッと引っ張られ、ハッと我に返った私は、寅さんと共にその場所へと向かった。
「ワンワンッ」
寅さんの泣き声に気がついた林君は視線をこちらへと向ける。
「あれ、寅さん? って、愛未ちゃん!?」
そう驚いた顔をして、寅さんと私を交互に見つめた。
「散歩してたら、寅さんがこっち来たんだ……」
「あー、そうだったんだ。
寅さん、愛未ちゃんを困らしちゃ駄目だろ?
ごめんえ、愛未ちゃん」
そう笑ってくれる林君に、私も笑いながら首を振るけど。
多分、今の私の笑顔は引き攣ってると思う。
だって、林君の隣に居る女の子が気になって仕方ないんだもん。