LOVE PRINCESS(林&愛未)
「林先輩のワンちゃんですかー?」
高校生のくせに私より背が高い、そこの子が林君の抱いた寅さんの頭を撫でた。
「うん。寅さんって言うんだ」
「可愛いー! 私、ワンちゃん大好きなんです」
“ワンちゃん”だぁ!?
犬を“ワンちゃん”っていう女ほど裏があるのよ!
今、私が勝手に決めたんだけど。
そんなの関係ない!
動物好きをアピって林君に近付くつもりね?
てか!
寅さんも、なに尾っぽ振っちゃってんのよ!
林君も、なに笑ってんのよ!
その光景を見てるだけでイライラしてしまう。
「あ、愛未ちゃん。
持田さんって言ってバイトの子なんだ。
持田さん、こっちが愛未ちゃん。俺の……彼女さん」
そう紹介してくれた林君に、私のイライラは一気に吹っ飛んだ。
だって、照れくさそうにしながら“彼女さん”なんて!
もう付き合って2年だよー?
そんな事を言うくらいで赤くならないでよー、林君たらっ!
「あ、林先輩の噂の彼女さん!
いつもお話は聞いてます。
ね? 林先輩」
えっ!
林君が私の話を?
バイト先でもしてくれてるだなんて……やだ、すっごく嬉しいっ!
って、待って……。
今、持田さんと目で会話したよね?
林君も何か赤くなってるし。
えええ。
何、これ。