お猫様の言うとおり




それでも、僕がこの猫を撫でることは無かった。


自然に、可愛がろうとする感情とかが、僕を衝き動かして、この子の頭に手が乗るだろう、

そう期待していたんだけど。



名前だってつけた。触れられるのは嫌じゃない。


でも…


「ごめん、クロ。」




口をついてでた謝罪は、なんのためだったのだろう。


猫が望んでいるなんて、そんなの分からないのに。






< 16 / 42 >

この作品をシェア

pagetop