お猫様の言うとおり
元々、声の張っている康介が、そんなにはっきり言ってしまうと、
嫌でもその場の全員に聞かれてしまう。
他人の恋愛事情に、首を突っ込まないまでも、情報収集は大好きな年頃だ。
しかも、“コソコソ”なんで擬音まで修飾させようものなら、
余計、スキャンダラスで興味をひいてしまう。
「…。」
さて、どう言おうか。
安易に場所をばらしたくもない。
だいたい、なんで“誰かと会ってる”なんて発想になるんだか。
会ってる?
会いに行ってるわけじゃないな。
確かに女ではあるけれど、
そもそも人間じゃないし。
なんていう風に、思考を巡らせていると、
「そうか…、良かった。」
そう、康介は、
とても嬉しそうに、笑った。
僕は、その姿に、ただ驚いて、固まって、
『ネコと会ってる』なんて、言えなくなった。