お猫様の言うとおり
「…んっ…。」
伸びをしながら、あの木の下に腰をおろす。
日の長くなった春の夕方は、赤い夕日より、ずっと軽くてまぶしい。
「ミャー。」
例の如く、どこからともなく現れたクロに、
「やぁ。」
と声をかけた。
「今日は仕事が多くてね、まいったよ。」
膝に乗ったクロに愚痴をこぼしながら、少し眠ろうと
木に寄りかかった。
まだ風は冷たいけれど、クロから足に伝わる体温は心地よく、すぐに眠気を誘ってきた。