お猫様の言うとおり

―人の手が、怖い―

怖い…








『…ねぇ、キミは、幸せ?…』



形もないような、おぼろげで、温かい声がした…










―え?―

ハッとして目を覚ました。いつの間に寝ていたのか、昔のことまで夢に見ていたようだ。


―ん?―

なにかおかしい。出そうと思った声が、出ていないようだ。


―あれ?―

立ち上がってみると、どうも視野が一段と低いし、ついた手を上げられない。


―なんか、この手…人間っぽくないんだけど…―


言うなれば猫の足に似ていた。


―まさか…―

恐る恐る、横を見てみると、




寝転がる僕の体があった。






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