お猫様の言うとおり
そのとき、風が揺れて、猫の体は立ち上がった。
僕の意思とは関係なく、勝手にだ。
―まさか、このまま行く気なの!?―
猫の体は、勝手に動き出し、木の裏へと向かった。
「こんにちは、クロちゃん。」
案の定、勝手に動いた体は、トオコの元へ向かっていた。
―う…。―
僕は今猫だというのに、えらく焦っていた。
―こ、こんにちわ…―
僕の声は、トオコに届いたのだろうか。彼女は僕の隣にしゃがんだ。
初めて見たトオコの顔は、
優しそうに微笑んでいた。