お猫様の言うとおり

クロの亡骸は、あの木の下に埋めた。


その次の日から、僕は昼休みにそこへ行くことはなくなった。



また逃げては、クロが悲しむだろう、そんな気がするから。



放課後の帰り際にだけクロに会いに行く。


それから、あの日以来、“トオコ”と会うこともなくなった。




不思議と会えなくなったことが、自然な気がした。

なんとなく、


「ねぇ、クロがトオコだったの?」


そんな風に思ったのだ。



本当にそうでも、そうでなくても、もう関係ないけど。


クロの墓の上に小さな花を置いて、重い腰を持ち上げた。


「じゃあ、行ってくるね。」








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