お猫様の言うとおり
「じゃあ、今日帰り遅くなるから。」
今日は仕事も無いし、放課後もあの木の所に行こうと、康介を後にしようとした。
「あ、待って、兄さん!」
「何?」
言いにくそうにする康介に、苛々して催促する。
「ケイタイの電源は切らないでよ。
…母さんのこと、いつ連絡必要になるか分かんないし。」
小さく聞こえた康介の言葉を、聞こえなかったら良かったと後悔して、
「分かったよ。」
わずかに頷いて、校舎裏へ急いだ。