アンタ達、あたしの日常どこやった?
「その期待に、応えられるだけの1年にして見せますよ」
にっこりと笑いながら、中原くんはそう返した。
…うーん、変なプレッシャーを背中に感じるぞ。
ね、と促されて、とりあえずあたしは首を縦に振っておくしかない。
「はあ…」
ひといき付いて、あたしは元座っていた椅子へと座り込んだ。
メモのノートを見ると、慌てて書いたのが分かるくらいぐっしゃぐしゃ。
あー、こりゃまた今夜も徹夜でまとめ直すコースかな。
早くまとめないと、多分…いや確実に忘れ去る。
そんなあたしの横で、相変わらず中原くんは会録や資料に目を通している。
「あの…」
「どうかした?」
「今ので引き継ぎ、分かりました?」
「うん、ほとんど聞いてない」
「は?!」
あたしは思わず耳を疑う。
まさか大声で話す訳にもいかないので、手をそえて小声で返す。
「じゃあ今まで何やってたんですか…?」
「どこをはぶいて、どこでどんな事出来るか考えてた」
なんて事…!さすがと言うか、破天荒と言うか。
「だって、去年までの流れなら、成田さんが聞いててくれたから」
何かあったら成田さんに聞いたら良いかなって思って、と。資料を片手に笑顔。
あああ、あたし良いように使われてる気がする…