アンタ達、あたしの日常どこやった?
その日1日、あたしはRuruさんの新作を読むのに休み時間を費やした。



…メモリーの中身は、うん、とりあえず読んでからにする。



じゃなきゃ、頭の切り替えが出来ずにあたしホントにダメな子になっちゃう。



昼休みも、お弁当もぐもぐしながら片手は携帯。



そんな調子だから忘れていた。



毎日恒例のアイツの存在を。



「キーツネー!」



うるさいなあ…ああ、高津遥か。



あたしは耳栓してる気分でガン無視して携帯に目を向け続ける。



どうせ時期に杉村さんと森川さんが引き取りに来てくれる。



それまでの我慢だと思えば良い。



「何やってんだキツネ。見るからに暇そうじゃないか。大概仕える気になっただろ?」



「キツネじゃありません暇じゃありません仕えません」



「そんな携帯触ってる暇があったらだな、俺を手伝え!元来使い魔は使役されてナンボだろうが!」



「だからあたしは使い魔でも何でもありません成田麻架って人間です」



「何を言っている、俺には見えるぞ、その9本に広がる尻尾が」



…ああもう!杉村さん達待ってらんない。



「うるっさいなあ!あたし今、Ruruさんの話読んでるの!今、良いとこなの!邪魔すんな!」



我慢の限界に来たあたしは、ついにベランダに立つ高津遥に向かって怒鳴った。



「…Ruru?」
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