アンタ達、あたしの日常どこやった?
聞き慣れない名だと思ったのだろう、高津遥の眉がわずかにしかめられる。
って言うか知る訳無いよね、いくら書籍化されてるとは言えケータイ小説の書き手さんの名前なんて。
突っ込まれると面倒くさいので、あたしは椅子に座り直すと、手で高津遥を追っ払う。
「なんでもない!とにかくあたしは今、忙しいの!」
「あー、はいはいごめんねごめんねー」
「はるる〜あんまり成田さん困らせちゃダメだよ〜」
ああ、ようやく助け船がやって来た。
あたしは食べる気の失せたお弁当箱にフタをすると、ベランダにやって来た2人に助けを求めた。
「とっととソレ早く連れて帰ってください」
「ソレとはなんだ、ソレとは!」
「ほら成田さん用事があるみたいだからね、早く帰るよはるる」
「成田さん毎日すみません」
「森川さんも杉村さんも、毎日ご苦労様です」
「…何か、お取り込み中でした?」
「あ、大丈夫です。ケータイ小説読んでただけなんで」
「ほら!お前やっぱ暇だったんじゃないかキツネ!」