アンタ達、あたしの日常どこやった?
それを世間一般では"イイトコの息子さん"って言うんですけど、アナタ気付いてますか…?
あたしのそんな視線の言葉に気付いたのか、中原くんは苦笑して言葉を繋いだ。
「でも親父は厳しいから、小遣い稼ぎたかったら自分で働けってバイトさせる位だからね」
「中原くんが、バイト?」
「さすがに真颯会やりながらコンビニとかは難しいから、今は親父の会社の手伝いさせてもらってるんだけど」
うーん…あのカリスマ性は実業家のお父様からの遺伝なんだろうか。
「それじゃあ。また明日、学校で」
笑顔も相変わらずの爽やかさ全開で、中原くんがホームの人混みの中へと姿を消して行く。
そんな後ろ姿を見ながら、あたしはしみじみと中原王子について考え込んでしまうのであった。
あの気軽さと親近感が、また人気のモトなんだろうなあ…
あの人のマイナスポイントって…あるんだろうか…
しかし、こんなに真剣にひとりの人間を観察してしまう事もめったにない。
遠くから眺めてるくらいがちょうど良いんだろうな…中原圭介。
…残念ながら、あたしは変なポジションに入り込んでしまったけど。