アンタ達、あたしの日常どこやった?
まあ確かに日本語は日本語なんですけど。
キツネ?使い魔?なんだそれ。
「何をぼさっとしているキツネ。お前、今生での名は何だ」
「…は?」
「名前を聞いてんだ名前を!」
「…成田、麻架ですけど…」
「成田麻架!その言霊、しかと貰い受けた!お前は今日から俺の使い魔だ!」
「いやちょっとごめんなさい何ですかいきなり」
勝手になんか使い魔とか呼ばれちゃってるし、すっごい色々突っ込みどころが満載なんですけど。
あまりの急展開っぷりの中、あたしはようやく自分の言葉を挟むことに成功した。
「だから俺が使ってやろうと言うのだ。ありがたく思え」
「いやあたし奉仕精神なんて持ってないですし。そもそもどちらサマですか」
「高津遥(たかつはるか)だ。今生で仕える主の名前ぐらいしっかり覚えておけ」
「だからあたし仕えるとかそんなの知らないですし」
「何を言っているキツネが。お前の使命は使役されることだろうが」
「だーかーら!」
「はい麻架も遥もストーップ。お互い話噛み合うてないからな、アンタら」
ぐぐ、と足を踏み出しそうになったあたしと彼女の間に、真澄が身体ごと割り込ませる。
「なんなのこの人。意味不明なんだけど」
「退け真澄、このキツネと今生の使役の契約を交わしたばかりだぞ」