アンタ達、あたしの日常どこやった?
なるほど、無記名投票制なら、採決もしやすいもんね。
あたしは当然"賛成"を記入して、先輩の持って来た箱に入れる。
「開票します」
パソコンの手を止め、ホワイトボード前に立った森川さんが賛成と反対の文字の下に正の字を記入していく。
案の定、"反対"の紙が出てくることはなかった。
…てか、あれだけ完璧に返されたらもう何も言えないよね。
それに実際、今までの形式よりこっちのが面白そうだと思うし。
「では、この草案を真颯会執行部の提案として監査の先生方に提出します。結論が出次第、臨時の定例会を開かせていただきます。体育祭まで時間がありませんのでご了承下さい」
それでは、今日はありがとうございました。
そんな中原くんの声であたしははっとした。
…あ、ホントにあたし今日は空気感味わうだけのお客さん状態だったわ。
もちろん、そんなあたしを見逃さない牧野智巳。
「なーりたサン」
「…何?」
「スゴいね、おたくの会長サン」
「あたしより、アンタらのが長い付き合いでしょうが」
「まあそれはそれ、これはこれで。今年の夏は面白くなりそうじゃん」