アンタ達、あたしの日常どこやった?
何が怖いかって、本当に怖いのは牧野智巳に褒められる方じゃなかった。
数日と置かずに実行しようと言う、真颯会執行部の実行力である。
「え!?あたしも喋るの?!」
中原くんの話の途中で、あたしは思わず声を上げた。
「うん、成田さんも説明参加してもらうよ。俺1人で喋るの疲れるもん」
疲れるもん、じゃなくてさあ…
明日の朝、一斉公開されることになった"新・体育祭"。
サテライト全校集会の打ち合わせの真っ最中の突然の指名だった。
「成田サン、人前で喋るのも目立つのも得意っしょー?」
にやにやと笑いながら牧野智巳が言葉を挟む。
うるさい黙れ、ややこしくするな話を。
「前半、俺が概要を喋るから、成田さんが後半補足してもらう感じで」
「大丈夫ですよ、資料も原稿も用意しますから」
あああ、森川さんの優しさにあたし泣きそう。
「じゃあ、明日の朝礼後に15分枠をもらってるから、朝礼の時に新聞配ってもらって、説明って形で。同時に各リーダーも募集開始するから」
体育祭の実行委員会は、体育委員を中心に会室横の空き教室に設置されるらしい。
…あの教室、資料室か教材室かと思ってたけどそんな利用されるのか。
秋には文化祭実行委員会の会室に化けるらしい。
抜け目無いなあ、真颯会。