アンタ達、あたしの日常どこやった?

「カメラ、停止しましたー」



その放送委員さんの言葉に、あたしは肩の力がどっと抜けた気がした。



「さて、成田さん。休んでる暇はないよ」



苦笑しながら、中原くんが時計を示す。



そうだった。あたし達だって1限の授業があるのだ。



「また昼休みに、会室で」



そう言い合って、慌てて教室へと戻る。



良かった、1限の古典の先生はいつも来るのがギリギリだから。



「なあなあ、成田サン」



はい、毎度お馴染みどうした本橋律よ。



「思ったよりマトモに、やってんだね副会長」



…思ったよりって何だ、思ったよりって。



「智巳がさあ、会議でいっつもぼーっとしてるって言ってたから。中原にぶん回されて終わってんじゃねえかと思ってたのに、意外」



ほめてるのか馬鹿にされてるのか良く分からない言葉だが、とりあえずありがとうと返しておいた。



さあ、"新・体育祭"の流れは始まった。



後はその流れをあたし達が作っていくだけだ。
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