アンタ達、あたしの日常どこやった?
そう言って、あたしの腕を掴むと、手のひらにUSBメモリーと謎のファイルを置く。
待って待ってファイル重い、落ちたら中身廊下にばらまかれるから。
「…何コレ」
「仕事だ」
「はあ?!」
「明日の朝には引き取りに来るからな」
「いやちょっと、話聞けよコラ」
「まだこんなのは、本当の仕事には入らんのだから、感謝しろ」
小手調べだ、と言うなりきびすを返し、教室の方へと戻って行く高津遥。
思わずぽかん、としてしまったあたしの元へ、入れ違いに森川さんが戻って来た。
「…どうしたんですか、成田さん?」
…ちょっと待て。何だ、今のは。
あたしは腕に抱えさせられた謎のファイルをちらりとめくった。
「あら、はるるのファイル」
一緒になって、森川さんもファイルをのぞきこむ。
そこに入っていたのは、数十枚のルーズリーフにぎっちりと書かれた謎の象形文字。
…じゃなかった、クセのひどい癖字で書かれた謎の文章。
あたしは、恐る恐るその文章の冒頭に目を通した。