アンタ達、あたしの日常どこやった?

駅までの帰り道。あたしは中原くんと一緒に駅に向かう。



「頑張るね」



「それはもう、本番迫ってますもん」



「楽しんで仕事出来る事以上に、良いことも無いからね」



「そうですね…って、あ。」



「どうしたの?」



「あたしの気のせいじゃなかったら、毎日中原くんが鍵閉めに来る気がするんですけど」



「うん、そう。成田さん待ってる」



「えええ!」



「だって、夜遅くに女の子ひとりじゃ帰らせられないから」



出たよ王子…!こういうとこマジで王子…!!



平然とやることが決まりすぎていて、あたしは思わず中原くんの顔をまじまじと見てしまった。



爽やかなまでのスマイル。



…ホントにさ。思うんだけどさ。環境が違えば惚れてたと思う。



だってこの見た目でこの性格、この振る舞いだよ?



もう何か色々知っちゃったから、そんな対象には見れないし、向こうも見ちゃいないだろうけどさ。



小説とかマンガだったら、これが恋に発展するんだろうなあ。



…正直言うと、ちょっと残念。



イケメン好きなんだから仕方ないじゃん。

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