アンタ達、あたしの日常どこやった?

「ちょっと!何ですの、前も見ずに廊下を歩くだなんて!」



あうあうと、相手の様子をうかがっていたあたしの頭の上から甲高い女の子の声がした。



すみません、確かにその通りですね。



「大丈夫だよ、そんな派手に当たった訳でもないし」



頬の辺りをさすりながら、少年が顔をあげる。



…やっべ。



ものっすごいイケメン。



うわあなんか申し訳なさ2乗された気分だ!



あたしメンクイだからイケメン大好きなんだよう。



何、この人某イケメン事務所に入ってる若手タレントさんとかじゃないよね。



デビュー前のメンツでも、これだけのイケメンなら所属してたらあたし絶対分かるぞ。



これはなんて言うかアレだわ。



典型的王道アイドル顔。



…と言うか、あたしこんなイケメン殴っちゃったのか…!



「本当にすみません、あの…」



「むしろ手、大丈夫?結構派手な音しちゃったけど」



「大丈夫です大丈夫です無問題ですむしろあなたの顔の方が心配です」



こんなイケメン傷物にしちゃったらあたし死んでも死にきれない。
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