アンタ達、あたしの日常どこやった?

「成田、」



終礼後、鞄を整理していたあたしの元へ、立花先生がやって来た。



「監査面接、今からと明日、どっちがいい?」



今からと明日かあ。



話決まるの早いなあ。



…って、今から?!



無理無理、心の準備ゼロだっての!



「すみません…明日でも、良いですか…」



まさかここから査定始まってないよねえ…ドキドキ。



「了解、明日な。放課後にやるから」



「あ、はい…よろしくお願いします」



ぺこりと頭を下げたあたしは、その場からそそくさと逃げるようにしてDクラスに向かった。



「まぁすみぃー!」



帰る生徒たちの間をすり抜けてDクラスをのぞきこむ。



ひらひらと手を振ったら気づいた真澄、鞄を持ってこちらへやって来る。



「真颯選立候補、すましたんやって?」



「なんで真澄まで知ってんの?」



「アンタ、昼休み始まった途端に行ったやろ。必死すぎて目撃者多数」



うっわ、恥ずかし!



そんなにバタバタ行ったっけ?




…うん。行ったわ確かに。



見るところ皆しっかり見てるんだなあ。



壁に耳あり障子に目あり。



教訓だな。
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