アンタ達、あたしの日常どこやった?

あー…久々に徹夜なんてやった。



ちょっと襲い来る睡魔と戦いながら、学校に向かうべくあたしは電車に乗った。



眠い…調べたあれこれ忘れそうだ。



そんな満員電車の中、ルーズリーフ片手にうとうとしているあたしの背後から、不意に声は投げられた。



「…成田さん?」



はい、成田です。



って…この声はまさか…



「な…中原くん…!!」



ドア際のポールに寄りかかっていたあたしは、思わず直立する。



この駅から乗り込んできたらしい中原くんは、あたしの隣のつり革を掴んだ。



あっぶねー、今どこの駅に止まったのかも分かんなかった。



…それどころじゃない。



真横に朝からイケメン王子が居る。



この現実に、あたしの眠気は当然ながらすっ飛んだ。



「おはよ、成田さん」



「…おはようございます」



「いつもこの電車なの?」



「え、…あ、はい」



「全然気付かなかったなあ、俺もいつもこの時間なんだけど」



「これだけ通勤通学ラッシュの時間ですからねー」



うっわあ、朝からオーラが輝かんばかりに爽やかだ。



さすが、イケメン王子。
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