アンタ達、あたしの日常どこやった?
「成田、嫌いなものってある?」
「はい?」
予想外も予想外。
意外すぎる切り口に、あたしは思わず素が出そうになったのをぐっと押さえた。
「嫌いなもの…ですか、」
「食べ物でも、生き物でも、出来事でも、人でも。何でもどうぞ」
えええ、枠が逆に広い…!
「嫌いな食べ物…魚介類です。特に貝類は見た目でダメです」
「それから?」
なんでそこで身を乗り出して聞いてくるのよ、生徒主任。
「生き物は…虫とか、は虫類とか…ダメです。最近だとナメクジ素足で踏んづけて一番嫌いになりました」
失笑が3人の間に起こる。
だって実際気持ち悪かったんだもん、ナメクジ!
「あと…嫌いなのは徹夜明けに迎える朝です。必死で徹夜してる時に限って朝って来るの早くて嫌です」
「あとは…」
ううう、そろそろネタ切れしてきたぞ。
多分、沈黙を作ったら負けだよな。
嫌いなもの、嫌いなもの…
「そこまで」
学年主任の声に、あたしは意識を目の前の3人へと引き戻す。
やっば、必死に考えすぎて、先生たちの反応全然見てなかった。
うわー…結果聞くの怖いいい…