アンタ達、あたしの日常どこやった?
対決!大合戦!
毎朝、早めの電車に乗って挨拶運動に向かうせいか、あれ以来電車で中原くんとは出会っていない。
まあ変な噂のタネにされるのもゴメンだし、あたしとしては一向に構わないんだけど。
「おはよーございまーす」
そんなこんなで、今日も地道に校門に立つあたしである。
だって全校生徒1200人よ?
毎日立ったって会わない人は会わないに違わないし、今日が初めましての人も居るだろうし。
相変わらずの調子で愛想満点の営業スマイルを振りまきながら立っていると、ふと声をかけられた。
「成田さん、」
「はーい、1年Cクラス、成田麻架で、す…」
「おはよう」
そんな事を考えていたら、見事にバッチリ、中原くんのご登校である。
…待て待て、朝から周囲にオンナノコはべらしてるんじゃないよ、王子。
「おはようございまーす」
そんなお嬢さんがたからも、声の揃ったご挨拶を受ける。
「お、おはよう、ございます…」
何か…変な感じだ。
「今日も早いね」
「え、ええまあ…」
アナタに勝つために必死なんですよ、こっちは。
「頑張ってね」
うわあ、余裕のアイドルスマイル…ちくしょう!
そう言って靴箱の方へと歩いていく中原くんを、数人のお嬢さん達がわらわらとついていく。
…やっぱり、何か変な光景。
その中で、ひときわ鋭い視線がこちらを向いていた事を、その時のあたしは気付かなかった。