アンタ達、あたしの日常どこやった?
泣いても笑っても怒っても、何をあがいても時間は流れてゆくもので。
気付いたらあっという間に1ヶ月。
もう数日後には投票日が控えていた。
結局、これと言って中原くん対策も見つからぬままのあたしは、現在必死で演説原稿と戦っている真っ最中である。
一体、何喋ったらインパクトがあるだろうか、とか…何を公約に掲げようか、とか。
演説会で各自がもうけられた時間は5分以内。
たった5分であたしは、全校生徒1200人の、少なくとも過半数の意識をかっさらわないといけないのである。
…あ、間違えた。
がさごそ、とペンケースをあさって消しゴムを探すあたしの目の前に、ころりと何かが転がりだしてくる。
…ん?ああ、真颯会の証明印だ。
小さな円形のゴム印で、真颯会選挙管理委員会の文字と、1って番号が彫られている。
そのハンコで手遊びしながら、あたしは思考を巡らせる。
「真颯会、かあ…」
放課後の教室に、あたしの声が響く。