アンタ達、あたしの日常どこやった?
あたしはにっこりと笑うと、握っていた手のひらを開く。
「藤崎さんのクマのリボン、ココにありますから」
そう。あたしの席に引っ掛かっていたのは、小さな赤いリボン。
「…コレが、どうして私のだって分かりますの?」
「あたしの席の、イスの端に引っ掛かってました」
このクマが流行っている理由。
それはリボンの所に自分の誕生石が付いているからだ。
ちなみにあたしの手の中にあるリボンには小さな赤い石。
赤い石はルビー。
「ルビーの誕生月は7月。失礼ですが、藤崎さん誕生日は?」
「7月…ですわ…」
唇を噛み締めながら、藤崎さんが苦々しく言葉を返した。
「…藤崎さん、」
「…だいたい、あなたが悪いんですわ!首席入学だか何だか知りませんけど、高等部から編入した身で我が物顔で居るなんて!」
何かに弾かれたように、藤崎さんが口を開いた。
「その上、圭介様にも軽薄な態度!あなたなんかが真颯選に出るなんて、厚顔無恥も良いところじゃありませんの!」
あっけに取られたように、通りすがりの生徒達が振り返って行く。
「あなたなんかに動かせるほど、この真颯学園高等部は…」
…ええい、うるさい!