アンタ達、あたしの日常どこやった?
「藤崎さん、真颯選辞退されたそうです」
「…え、」
「私もはっきりとは聞いてませんが、今年は真颯会に入るつもりはない、と」
へえ、なるほど。そーいうオチになりましたか。
「一体、何があったんアンタら?」
「残念ながら、こればっかりは真澄にも話せません」
ハンコ盗んで取り返して、なんて話がバレたら、さすがに今度は藤崎さんが可哀想だ。
あたしにもそれくらいの仏心はあるのです。
「それはそうと、いよいよ投票日も明後日ですね。成田さん、演説原稿出来ました?」
「…あ、忘れてた!」
昨日今日のバタバタですっかり頭からすっ飛んでいた。
「今日の放課後は、演説会のリハーサルですけど…」
「ま、あ…そこで本文読む訳じゃないし。流れだけのリハーサルだし…なんとか本番までに考えます」
心配そうな森川さんにあたしは苦笑を返すしかなかった。
「やるからには勝ちに行くやろ、麻架?ウチ、アンタに賭けたからホンマ気張ってや!」
「賭けた?何に?」
「多分、今日の昼休み辺りには成田さんも分かると思います…」
伏し目がちで言う森川さんに、あたしは首をかしげるしかなかった。