アンタ達、あたしの日常どこやった?
そして、迎えた運命の日。
5月31日。投票日。
この日は朝礼が終わったら直ぐ講堂に移動して、選挙演説会になる。
そのまま直ぐ投票が始まって。
明日の朝には結果が告示される。
候補者のあたしたちは、朝礼前から講堂に集まって、舞台袖で最後の打ち合わせだ。
あああ、めったな事で緊張しないあたしが、今、緊張しすぎて口から心臓が出そうだ。
表情にも出ているのだろうか、森川さんにしきりと心配されてしまう。
「成田さん、大丈夫ですか?」
「あ、うん…平気」
大丈夫、勝ちに行くんだもん。
こんなトコでへこたれてられない。
「成田さん、」
原稿に目を落としていると、中原くんに声をかけられた。
今日も余裕の中原くん。なんと手ぶらである。
「…あたし、勝ちますから」
「俺が俺である限り、負けないよ」
さらりとかまされるアイドルスマイル。
しかし、今日のあたしは真正面からそれを受け止めた。
がやがやと外が騒がしくなる。
いよいよ、決戦の火蓋が切って落とされた。